昭和30年代のレンズ研磨の町工場は、殆ど木造の建物、床は木の床で床には研磨材レンズ貼り付け用のピッチが、こびりついている状態でした。
冬場には、ここに石炭ストーブを置いて暖房をとるのが普通でした。

当時、レンズ表面の最終の拭き取りは200cc〜300cc位の溶剤を入れる瓶を使い、人さし指の先にガーゼ状の布を用いて瓶を斜めにして、布に溶剤を含ませてレンズの表面を拭いておりました。

ある時、手が滑って瓶を倒してストーブの火が引火してしまい工場が燃えてしまいました。
人的被害は無かったのですが、この様な事は再び起きる可能性があるかと思い、安くて安全な物をと転倒しにくい円錐状の瓶と、必要量の出るポンプを考え図面は出来たのですが、円錐状のガラス瓶を作る所が無く苦労をしました。

ポンプの下部に、細いビニールチューブが取り付けられる様にして、長い瓶でも使用できるようにしました。
上面の3つの穴からの液体が上に出るので、上にカバーを取り付けて目に入らないように安全性を高めております。

売り出すための商品名を考えた結果、『ハンドラップ』の名前をつけました。
現在、何処でもこの名前で通っておりますが、名付け親は宇田川鐵工です。
従って宇田川鐵工以外で売り出されているハンドラップは、全てコピー商品です。



                                      宇田川鐵工株式会社
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